「今日なにしてたん?」
夫のこの一言が、心の奥に深く突き刺さりました。
散らかった部屋を見渡しながら、私はただ笑ってごまかすしかありませんでした──。
子どもは朝からぐずって泣き、抱っこしても、おろしても泣く。
離乳食はほとんど食べず、やっと寝たと思えば数分で起きる。
その繰り返しで、家事は中途半端、自分の食事さえまともにできません。
夕方には気力も体力も底をつき、「今日は生き延びた…」という感覚だけが残る。
そんな日の夜、帰宅した夫が最初に発したのが、あの言葉でした。




育児は「説明しないと伝わらない」現場
夫は責めるつもりで言ったわけではなかったのかもしれません。
ただの会話の入り口だったのかもしれません。
でも、育児の現場に一日中いる私には、その一言が
「何もしてないんじゃないの?」という評価のように聞こえてしまいました。
心理学的に、人は強い疲労やストレス下にあるとき、相手の言葉を否定的・批判的に解釈しやすくなります。これを「認知の歪み」といいます。
特に育児は「成果が見えない努力の連続」です。
- 泣く → 抱っこ → 泣き止まない → おろす → さらに泣く(無限ループ)
- 離乳食を作る → 食べない → 作り直す → こぼす
- 寝かしつけ → 寝たと思ったら数分で起きる
やっていることは山ほどあるのに、結果はゼロに見える。
だからこそ「今日なにしてたん?」という言葉が、存在そのものを否定されたような気持ちを呼び起こしてしまうのです。
“夫は敵じゃない”とわかっていても孤独になる理由
私の夫は、家事も育児も手伝ってくれます。
それでも、子どものことは基本的に“妻任せ”になりがちです。
- 熱が出たとき、病院へ連れて行く判断をするのは妻
- 食べないときの工夫を考えるのは妻
- 夜泣きがあれば、最初に起きるのは妻
夫に悪意はありません。
でも「最終的な責任を持つのは私」という状況が積み重なると、精神的な負荷は大きくなります。
心理学では、こうした状態を「役割過重」と呼びます。
表面上は分担しているように見えても、責任の最終決定や段取りのほとんどを一方が担っていると、疲労感や孤独感は深まっていきます。
「察してほしい」は甘えではない
SNSでもよく「言わないとわからない」という夫側の意見を見かけます。
確かに、説明なしに100%理解するのは難しいでしょう。
でも、「察してほしい」という感情は単なる甘えではありません。
これは心理学でいう「信頼の表れ」です。
「この人なら自分を理解してくれるだろう」という前提があるからこそ、言葉にしなくても気づいてほしいと思うのです。
ただ、その期待が何度も裏切られると、やがて人は「沈黙」を選びます。
沈黙は、諦めと自己防衛のサイン。
「どうせ伝わらない」と感じた瞬間から、会話の扉は閉ざされていきます。
察してほしいけど察されない──心理的すれ違い
心理学では、こうした状態を「感情的孤立」と呼びます。
物理的には一緒に生活していても、感情や思考を共有できないことで、心が孤立してしまうのです。
夫にとっては「いつも通りの一日」でも、妻にとっては「必死で乗り越えた一日」。
この温度差は、夫婦関係に小さな亀裂を積み重ねていきます。
すれ違いを減らす3つのヒント
- 質問の仕方を変える
「今日なにしてた?」ではなく、「今日はどうだった?」に変えるだけで、評価ではなく共有のニュアンスになります。 - 感情から会話を始める
「今日は大変だった?」と、まず感情を尋ねる。相手が安心して話せるきっかけになります。 - 努力を見える形で労う
「部屋が散らかってるってことは、今日は大変だったんだね」など、結果よりも過程を評価します。
まとめ
育児は、結果ではなく**「プロセス」**の積み重ねです。
そのプロセスごと認め合える関係が、一番の支えになります。
もし夫婦の間で「察してほしい」と「言ってくれなきゃわからない」がぶつかっているなら、まずは互いの背景や心理を理解することから始めてみてください。
少しの言い回しや態度の違いが、孤独を減らし、安心感を増やします。
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